ロープウエーで手軽に
7月下旬の晴れた日と8月下旬の雨の日の土曜日に2度、北八ケ岳の北横岳(2480メートル)に登った。最初はスタッフを務める県カルチャーセンター「里山講座」の下見で、次は本番だった。
茅野市の蓼科高原から北八ケ岳ロープウェイを利用すれば、手軽に高山に登れる北横岳は登山客に人気が高い。両日とも上り下りの擦れ違いに苦労するほどにぎわっていた。
7時に長野市内を出発。長野インターから上信越道を走り、坂城インターで降りる。千曲川を渡って上田原から塩田平へ。さらに平井寺トンネルを抜け丸子に出て、国道152号線を南下。大門峠から白樺湖を通って蓼科高原へ向かう。
10時前に北八ケ岳ロープウェイの山麓駅に到着。窓口で往復2100円の乗車券を買い、100人乗りのゴンドラに乗り込む。2237メートルの山頂駅まで、標高差466メートルをわずか7分で上った。
降り立つと目の前に、広大な溶岩台地が広がる。約800年前の北横岳山腹の噴火で流れ出た溶岩が固まった岩と、その上に生えたハイマツで造られた自然園の「坪庭」だ。
周囲を見渡すと、縞枯(しまがれ)山や雨池山、三ツ岳などの山腹に木々が帯状に立ち枯れた縞枯れ現象が見られる。北八ケ岳特有の光景だ。
坪庭の上部から北横岳の登山道に入る。うっそうとしたシラビソの林の下を覆うコケ類がきれいだ。夏場の土曜日とあって登山客が多い。岩だらけの狭い道を譲り合いながら登る。
間もなく通年営業の北横岳ヒュッテに到着。荷物を置いて、すぐ近くの七ツ池を見に行く。高山の神秘的なたたずまいが魅力の池だが、今は環境規制で二つしか見られない。
ヒュッテから、ひと登りで山頂部の南峰(2472メートル)へ。少し休んで頂上の北峰へ向かう。下見の日は眼前に大きな蓼科山(2530メートル)が見えたが、本番では雨と霧で視界ゼロ。
風も強く寒かったため早々に下山を開始。ヒュッテの前庭で雨を避けながら昼食に。同じコースを下り、予定していた坪庭周遊は諦め、再びロープウエーで山麓駅に。
帰路は女神湖から長門牧場に立ち寄り、牧場ならではの濃厚なソフトクリームを味わい、土産に乳製品を買う。さらに立科町の立科温泉「権現の湯」に立ち寄り、汗を流して東部湯の丸インターから上信越道で長野へ戻った。
横内房寿
2022年9月3日号掲載