山頂から白銀の北ア展望
前日までの雨が上がった3月末の平日、長野市信州新町の長者山(1160メートル)に登った。今年最初の登山のため〝軽い山〟を選んだつもりだったが、上部は思いのほか雪が深かった。それでも山頂からは白銀の北アルプス後立山連峰を一望。見応えのある景観を楽しんだ。
9時に安茂里で山仲間3人が合流し、1台の車で出発。国道19号で信州新町の中心部を過ぎ、不動温泉「さぎり荘」の脇から県道川口大町線を進む。途中から左右(そう)地区へ入り、登山口の阿弥陀堂に。
仲間のNさんは下山口の長者屋敷跡に車を回し、そちらから登って山頂で私たち2人と合流する段取りだ。
阿弥陀堂から林道を進むと間もなく標識があり、左手の登山道に入る。思ったより道幅があり、雨でぬかっているのを心配したが、落ち葉のおかげで歩きやすい。
先を行くKさんは登山道に落ちている枯れ枝を丹念に取り除きながら登る。杉林を出ると登山道は二つに分岐。急な尾根コースは避け、巻き道を進む。再び合流して登って行くと、ロープのあるジグザグの急斜面に。
途中には昨年登った大姥山(おおばやま)のような岩穴が右手にあり、修験道の開祖・役(えん)の行者の木像が置かれている。地元の人が彫ったようだが見事な出来映えだ。
ここを登りきると、平たんな場所に。それまでほとんどなかった雪が現れ、鉄塔の立つ広場は一面の雪だ。あずまやのある長者山公園の脇から林道に出て、膝まで沈む雪道を登り詰めると山頂に出た。
北の白馬三山から南の烏帽子岳まで、北アルプスのパノラマが広がる。目の前の爺ケ岳と鹿島槍ケ岳、五竜岳は雲がかかっていたが、白馬鑓ケ岳、杓子岳、白馬岳はくっきりと青空に映えていた。
ここでNさんとも合流。頂上のあずまやで昼食を取り、3人で下山にかかる。三角屋根の森林学校から下の林道は暗い杉林の中で雪が深い。沈み込んだ踏み跡に一歩一歩足を入れ、つぼ足でたどる。
下山口の長者屋敷跡は小さな平になっている。集落となって久しいが、今も立派な土蔵が二つ。日当たりのよい付近の土手には、福寿草の黄色い花が一面に咲いていた。
横内房寿
2024年4月27日掲載