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19 カヌー仲間

ツアーを通じて知り合う 慈善活動でTシャツ作る

カヌー仲間となべくら高原で遊ぶ私(前列左)

 東日本大震災の翌日の2011年3月12日に発生した「長野県北部地震」で、栄村は大きな被害を受けました。1カ月ほどたった頃、カヌー仲間の一人が「栄村の支援のためにチャリティーTシャツを作りたい」といい、私は、Tシャツにプリントするイラストを描くことになりました。


 背中側に、上下(南北)に流れる千曲川を書き、その周辺の市町村名をアルファベットで書くというデザインでした。左上のほうには野田さんと愛犬ガクがカヌーに乗っている様子を描きました。千曲川は筆を使って蛇行する様子を表現しました。


 チャリティーTシャツの制作費は、私を含むカヌー仲間4人で1人5万円ずつ出し合い、20万円を充てました。Tシャツは1枚2000円で、インターネットで販売したほか、小布施町の「おぶせ藤岡牧夫美術館」が2012年3月に開館して以降は、美術館内のショップでも販売しました。野田さんのカヌーツアーでお世話になった「なべくら高原・森の家」でも販売させてもらいました。Tシャツは売れ行き好調で、何回か追加製造し、収益はすべて栄村に寄付しました。


 これまで私はチャリティーのような活動にあまり関わってきませんでした。私の絵がプリントされたTシャツを買ってくれるお客さんがいて、その売り上げが被災地の復興の役に立つというのは非常にうれしいことでした。被災地のために行動する仲間のことを「とても立派だな」と思いました。


 Tシャツ作りの仲間と知り合ったのは、2003年に開催した野田さんのカヌーツアーの時でした。チャリティーTシャツに資金提供した人以外にも15人ほどの仲間がいて意気投合した私たちは年1回のカヌーツアー以外にも会うようになりました。


 仲間たちとは秋に野沢温泉村でキノコ狩りをしたり、冬になべくら高原で堆肥の袋で作ったそりで遊んだりして楽しみました。野沢温泉に行った時に泊まるのはいつも決まった宿でした。宿のご主人の同行でキノコ狩りに行き、ナラタケやムキタケなどをよく採りました。


 冬はよくなべくら高原・森の家に泊まりました。棚田のような場所に雪が積もり、そこを堆肥の袋の上に乗って滑り降りるのです。とてもスピードが出て、急に低くなる場所では「どん!」とお尻を雪の上に打ち付けるような状態になります。とても楽しく、童心に返ったような気持ちになって遊んでいました。


 この頃、カメラを持ち歩くのが習慣になっており、「風景ハンティング」を楽しんでいました。遊んでいても気に入った景色を見つけると「作品の参考にしよう」と写真を撮りためました。


 当時持っていた一眼レフは大きいので、ジャンパーの下に入れても膨らんで目立ちます。そんな私を見てからかう仲間もいましたが、カヌー仲間は、肩の力を抜いて自然体で接することのできる貴重な仲間です。

(聞き書き・広石健悟)


2024年11月23日号掲載

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