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21 貨幣錯覚 「25%お得」を「20%割引」とも

最近、話題の「Go To イート」。地域の飲食店で使えるプレミアム付き食事券について、農水省のサイトには「販売額の25%を国が負担します。

 例 1万2500円の食事券を1万円でご購入頂けます」とあります。「25%お得」とPRする関連サイトもありました。

 実は「20%割引」という言い方もできます。1万2500円分の食事代が1万円の支払いで済んだのなら、差額の2500円は本来払うべき1万2500円の20%だからです。

 二通りの言い方は、どちらも間違いではありません。お得感の強い数字の方が、アピール度が高いとも考えられます。筆者が周りに聞いても、25%の得と思っている人が多数でした。

 2002年、EUの通貨統合で、通貨がギルダーからユーロに替わったオランダで、毎年一定の額が集まっていた募金が、通貨切り換え後、対前年比10%も増えました。そのような結果になったのは、多くの募金者は切りのいい金額で募金するというところに理由があります。つまり、当時のレートは1ユーロが2.2ギルダーで、例えば過去に2ギルダー募金していた人が、募金額を1ユーロにすると、結果的に2.2ギルダー分募金したことになるのです。

 このように、お金を実質的な価値でなく、表面的な価値に基づいて判断する心理を「貨幣錯覚」といいます。

 以下の例も貨幣錯覚です。ボーナス額を、業績が上がったら25%アップ、下がったら25%ダウンするというルールを決めました。一見公平なルールに思われますが、25%のアップとダウンを交互に繰り返すと、1万円→1万2500円(アップ)→9375円(ダウン)→1万1718円(アップ)→8789円(ダウン)→1万986円(アップ)というように、ボーナスの額は少しずつ減ってしまいます。

 この記事を読んだお父さんやお母さんには、あらかじめ申し上げます。このルールを、お子さんのお小遣いに使うのはやめた方が良いです。仕組みがばれると恨まれてしまいますので。

(マーケティングコンサルタント)


(2020年12月5日号掲載)

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