冷たい風吹く水面から 落ち葉の下や土の中へ
春本番を迎え、冬の間それぞれの場所で寒さをしのいでいた虫たちも、元の場所に戻り始めています。
アメンボもその一つです。田んぼや池にいるイメージが強いアメンボですが、冬は水辺から離れて過ごします。
以前の私のコラムを読んでくださった人は、疑問に思うのではないでしょうか。水の中は外よりも暖かいのではないかと。池の中の温度は、水の特殊な性質により冬も「4度」と決まっていて、時間帯によっては気温よりも暖かいのです。
ではなぜアメンボは冬に水辺を離れるのでしょうか。それは、ふだん水の中ではなく「水の上」で暮らしているからです。胴体を水につけず、足の先だけで水面に立っているため、冷たい風にさらされてしまいます。
そこで、羽を使って陸地まで飛んでいき、落ち葉の下や土の中で過ごすのです。
ちなみにアメンボという名前は「アメ」のような匂いがすることから名付けられたそうです。
さて、冬は寒さの厳しい長野県ですが、3月から5月にかけては急速に気温が上がり、季節が駆け足で進んでいきます。
例えば昨年、長野で初めて夏日(最高気温が25度以上の日)になったのは、なんと4月10日。最高気温は27度まで上がりました。4月9日に開花した桜は、過去最速のたった2日で満開を迎えました。
この日の天気には大きな特徴がありました。それは気圧配置が「南高北低型」だったことです。日本の南にある高気圧から北の低気圧に向かって、暖かい空気が流れ込むため、気温が上がるのです。
昨年、群馬県伊勢崎市で、6月としては全国で初めて、最高気温が40度を超えましたが、このときの気圧配置も「南高北低」でした。
まだまだ体が暑さに慣れない時期でもあるため、「南高北低」が予想される日は急激な気温の変化にご注意ください。
気象予報士・防災士
2023年3月25日号掲載