土や砂どかして外へ 人間よりも一足早く
足元の小さな虫たちも春の到来を察知し、動き始めています。
春を感じたアリがまず始めにするのが、巣の出入り口を整えることです。冬の間、アリたちは地中にこもるため、巣の穴は土や砂でふさがれてしまいます。そのため、冬が終わると、土や砂をどかして外へ出始めるのです。
土の中でじっと寒さに耐えていたアリは、日差しが強まり、土の表面の暖かさが巣の近くまで伝わると、春を感じます。そしてそのタイミングは、私たち人間よりも一足早いのです。
なぜなら、気温よりも先に暖まるのが「地面」だからです。太陽の熱はまず地面を暖め、続いて地面のそばの空気、その後周辺の空気、という順に熱が行き渡っていきます。
太陽が空の最も高いところにあり光が強い昼の12時ごろではなく、午後2時ごろに最高気温が出るのも同じ理由からです。
気象台では、地面から1.5メートルの高さで気温を観測しています。そのため、地面から熱が伝わるのに2時間くらいかかり、最高気温が遅れて観測されるというわけです。
反対に一日のうちで最も気温が低いのは、太陽が出始める「日の出ごろ」です。日が沈んだあと気温は下がり続けるため、太陽が隠れてから最も時間がたった頃に気温が一番低くなります。
長野県では4月が最も季節の進みが早く、あっという間に暑さの気配が出始めます。信州の春は長くはありませんので、計画を立てて楽しんでみてください。
気象予報士・防災士
2024年3月30日号掲載