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エミリア・ペレス

  • 6 日前
  • 読了時間: 2分

=2時間13分

長野千石劇場((電)226・7665)で公開中

(C)2024 PAGE 114 - WHY NOT PRODUCTIONS PATHE FILMS - FRANCE 2 CINEMA COPYRIGHT PHOTO : (C) Shanna Besson

「女性」の人生選んだ 麻薬カルテルのボス

 性別適合手術で男性から女性に生まれ変わり、新しい人生を手に入れた麻薬カルテルのボスの新たな名前は「エミリア・ペレス」。メキシコを舞台に、贖罪と救済をサスペンスタッチで描いたミュージカル映画だ。


 弁護士でありながら安給料で、鬱屈した日々を送っていたリタ(ゾーイ・サルダナ)は、冷酷な麻薬王として知られるマニエス(カルラ・ソフィア・ガスコン)から法外な報酬の驚く依頼が舞い込む。「誰にも知られることなく女として生きたい」と。


 世界中を駆けまわり名医を探し当て、マニエスの妻ジェシー(セレーナ・ゴメス)もだまし、手術は成功する。それから4年後、マニエスは、エミリア・ペレスとしてリタの前に現れる。エミリアが、家族との生活を望み、メキシコに戻ったことで、危険な運命が動き始める。


 劣悪な環境で悪人として生きることを余儀なくされたと訴えるエミリアの悲痛な叫び。本当の愛に出合い心が震えたエミリアの満ち足りた表情の美しさ。フィクションでありながら、切実な思いが伝わるのはカルラ・ソフィア・ガスコン自身も同じ立場であること。トランス・ジェンダー女優として初めてアカデミー賞主演女優賞にノミネートされた。


 登場する女性たちは皆、愛と憎しみに翻弄され不満を抱えている。


いつしか同じ方向を向いて、連帯感を強めてゆく女性たち。そのエモーショナルな演技により、カンヌ国際映画祭では4人の女優たちがアンサンブル女優賞に輝いた。


 脚本も手掛けたフランスのジャック・オーディアール監督は、最初はオペラの企画からスタートしたというだけに、ミュージカルシーンはせりふと音楽が一体となってドラマチックに物語を進めていく。脚本にはなかったというダンスシーンは斬新で、慈善パーティーに集まった名士たちの裏の顔を暴きながら歌うリタのたたきつけるようなダンスパフォーマンスは圧巻だ。ゾーイ・サルダナはアカデミー賞で助演女優賞、歌曲賞を受賞している。


 女性であるがゆえに受ける抑圧を跳ね返す圧倒的なパワーと彼女たちの魂の叫びが、心に突き刺さる。

(日本映画ペンクラブ会員、ライター)


2025年3月29日号掲載

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