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カーリングの神様

=1時間39分

長野グランドシネマズ(☎︎050・6875・0139)で公開中

(C)2024「カーリングの神様」製作委員会

国際大会出場目指す 女子高生たちの情熱

 「カーリングの神様」は、御代田町を舞台に、カーリングを通じて壁を乗り越えて夢をかなえようとする女子高生たちの青春物語だ。


 カーリングの国際大会が御代田町で開催されることが決定。しかもオリンピックに出た強豪チームとアマチュアが対戦できるエキシビション・マッチが組まれるという。


 女子高生の香澄(本田望結)は、有名選手に会えるエキシビション・マッチを目指し、小学生の時に結成したカーリングチーム「みよステラ」を再結成する。メンバーは元チームメートと、初めてカーリングをする東京からの転校生。コロナ過で閉塞した高校時代の思い出づくりのため、そして地元の活気を取り戻すため、香澄たちの挑戦が始まった。


 2022年の北京冬季オリンピックで銀メダルに輝いた日本女子チームの活躍に、どきどきしたことを覚えている人もいるだろう。競技のルールや戦略を知るほどに選手たちの集中力やスキルの高さに圧倒された。選手たちの真剣なまなざしの先にある一瞬の奇跡。一人では勝てないチーム戦だけに、試合とともに深まってゆく友情と情熱に胸が熱くなる。


 撮影が行われた「カーリングホールみよた」は、本州で一番古い歴史を持つ現役のカーリング場で、開設のきっかけが1998年開催の長野冬季オリンピックに選手を輩出したいという願いからだという。地元有志が立ち上げた志が30年近くたった今も続いているという驚き。2022〜23年の年末年始にかけて開催された「ワールドカーリングツアー ニューイヤーカーリングin御代田」のテレビ中継がきっかけで、この物語が誕生したというのも運命を感じさせる。


 トレーニングに励む彼女たちの背景に映し出されるのは、昔ながらの町並みや豊かな自然、雄大な浅間山。撮影に協力した人々の姿など地元ロケ作品ならではの楽しみがある。


 本木克英監督自ら体験したというカーリングの競技シーンは見どころの一つ。特訓で俳優たちが吹き替えなしで撮影された。共演の田中麗奈、高島礼子、柄本明、六角精児らが脇を固めている。

(日本映画ペンクラブ会員、ライター)


2024年11月9日号掲載

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