外の寒さ通しにくく厚くて頑丈な「蓑」の巣
葉っぱがほとんどなくなった木にぶら下がっているミノムシ。この時季の風物詩ともいえるおなじみの光景ですが、実はミノムシは、自治体によっては絶滅危惧種にも指定されるほど貴重な昆虫になってきています。
ミノムシは、ミノガという蛾の幼虫のことです。口から出した糸で枯れ葉や枝をつなぎ合わせて作った巣が、雨具の「蓑」に似ていることから名付けられたそうです。
巣は小鳥のクチバシでも切り裂けないほど厚くて頑丈で、雪や雨からミノムシを守ってくれます。また、巣の内側はミノムシが出す糸によってフェルトのような構造になっています。こうして空気の層ができることで外の寒さを通しにくくし、冬の寒さにも耐えられるのです。
ちなみに、ミノムシの近くに折り紙や毛糸などを置いておくと、カラフルな蓑が出来上がるそうです。
さて、私たち人間も寒さや大雪への備えが必要ですが、そのために知っておいていただきたい「気象用語」があります。
それは、天気予報で「明日の北部の山沿いは雪」などと使われる「山沿い」という言葉です。冬の期間(11月ごろから3月ごろ)の雪の予想でのみ使われる言葉で、どこを指すのか厳密に決められています。
「長野地域の山沿い」は、旧戸隠村・旧鬼無里村と、高山村の標高800メートル以上の地域と、飯綱町、信濃町、小川村です。
「大北地域の山沿い」は、旧美麻村と、旧大町市の標高800メートル以上の地域と、小谷村、白馬村になります。
では「中野飯山地域の山沿い」はどこでしょう。実はこの地域では、山沿いと平地の区分がありません。標高が高い所が多いため、あえて分類していないのです。
自分の地域がどこに該当するかを知り、気象情報を正しく捉えて冬を安全に過ごしてほしいと思います。
気象予報士・防災士
2024年1月1日掲載