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一箱本棚オーナー制度の私設図書館に

北石堂町の元ボタン店を改修 

築山教授(左)と学生の山本さん
県立大生ら運営 本棚とボタンのディスプレーと

 長野県立大学の学生らが運営する一箱本棚オーナー制度の私設図書館「まちかど図書館ぼたん」がこのほど、北石堂町の元ボタン店にオープンした。このような図書館は「みんとしょ」(みんなの図書館)と呼ばれ、同様の活動は全国に広がっている。

 運営の主体となっているのは、同大学グローバルマネジメント学部の築山秀夫教授(61)の下で地域社会学を学ぶ築山ゼミの3、4年生18人。2022年4月に閉店したボタン店「ぼたんのいとう」を再利用し、協働運営する株式会社「まちづくり長野」が改修工事などを担当した。


元店主が残していったボタンが壁一面に

 入り口を入ると、左側は一面本棚。右側は木、貝、革など素材も色もさまざまなボタンをディスプレーし、販売もしている。「大家さんのお父さんが残していったこのボタンを生かそうと、当初から思っていました。ボタンを求めに来る人の方が多いくらいで、『昔ここで買いました』と思い出を語っていかれます」と築山教授。

 持ち主の伊藤直美さん(52)の父は昨年7月に他界。伊藤さんは、父が膨大なボタンの在庫を全て把握し、来店客に自信を持って薦めたり、くるみボタンやボタンホールを器用に作る姿を見てきた。「ここは父が一生をかけてつくってきた店。残していった品物をどうしたものかと思っていましたが、店名の『ぼたん』の名と共に残してくれたのがすごくうれしかった」と振り返る。

「まちかど図書館ぼたん」の外観

 学生たちはゼミの活動の一環で、交代で店番に訪れる。接客の合間に店内を掃除したり、レジの使い方を学んだりと、店番の時間は慌ただしく過ぎていく。3年の山本嗣起さん(20)は「公務員を目指しているので、学生のうちから行政やまちの人たちと関わって店舗運営に参加できるのは、将来にも生かせると思います」。4年の斉藤舜太郎さん(22)は「家や職場とは違い、属性にとらわれずにフラットに人々が集まれて、心地よく過ごせる居場所にしたい」と思い描いている。

 築山教授は「『今までの日常を少し変えたい』『まちづくりに関わってみたい』といった多様な人たちが集い、影響を与え合って新たなものをつくり上げるような創造的な空間にしていきたい」と話している。

 記事・写真 松井明子


 

【まちかど図書館ぼたん】

 営業時間は原則10時から18時で不定休。営業時間を変更する場合があるため、来店前にホームページで確認を。

 本を借りるには、住所、氏名、連絡先の登録が必要。カード発行1枚300円。1カ月5冊まで無料で借りることができる。

 本棚オーナーは、入会金3000円、本棚1区画(約40センチ×30センチ)月額2000円、年間一括払いだと12カ月分2万2000円で常時募集中。

 (問)築山(メール)tsukiyama.hideo@u-nagano.ac.jp


2024年9月21日号フロント

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