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古民家の「伝統工法」学びながら

一般参加者と共に土壁修復

米沢邸
台風災害で被災 穂保の「米沢邸」

 2019年10月の台風19号災害で被災した穂保の古民家「米沢邸」を修復しながら、伝統的な左官技術の基本を学ぶワークショップ「左官塾」の第1回がこのほど現地で行われた。関東、関西地方からの参加者も含め県内外の約40人が参加。プロの左官職人から教わりながら、米沢邸修復に一役買った。


壁のもとになる土と水を混ぜる参加者

 米沢邸は1818(文政元)年の建築。築200年以上の大きな屋根が目を引く古民家だ。台風19号災害では、千曲川の堤防が決壊し、周囲の家屋が流されるなか、米沢邸は高さ2メートル近くまで浸水する被害を受けたが建物は残った。土壁が流されたものの、それによって柱など構造体への力が最小限にとどまったため、流されるまでに至らなかったと見られる。

 一般社団法人「しなの長沼・お屋敷保存会」は、米沢邸の修復・活用に取り組むためにクラウドファンディング(CF)で資金を募った。災害に強い古民家の「伝統工法」を学べる場として再生することも目指し、今回のワークショップを企画した。


小舞下地に取り組む参加者

 9月にかけて全4回のワークショップを計画。小沼充さん(63)と弟子の左官職人が指導。第1回は、土を塗るための下地作りをテーマに、参加者は、竹やアシで作る「小舞(こまい)下地」と、木材を使用して作る「木ずり下地」に取り組んだ。

 昼食前に参加者は自己紹介。職業は左官職人見習いや大工のほか、建築設計者など。新潟県から参加したコンピューターエンジニアの杉浦雄一さん(60)は「自宅は古民家でいろりや掘りごたつ、土壁もある。土壁を自分で直せるようになるため参加した」。左官見習いとして働く京都府の女性は「小舞を縄で編んでいく作業が難しかった。会社にある練習用の壁で練習している」と話していた。


木ずり下地に挑戦する参加者

 同保存会会長の天利一歩さん(54)は「一般参加者が左官の技術を学び、地元に帰った後もできるようになってほしい。同時に、左官で困ったときに助け合いのできる仲間づくりもしてほしい」と話していた。

 

左官塾

第2回「荒壁塗り」 7月13日(土)〜15日(月)

第3回「土中塗り」 8月24日(土)、25(日)

第4回「いろいろな仕上げ塗り」 9月21日(土)〜23日(月)

参加費は第2回と第4回が各6000円(昼食付き)、第3回は4000円(同)

申し込みは開催日5日前までに、同保存会に(メール)naganumaoyashiki@gmail.comで

応募方法など詳細は同保存会のホームページ参照。

 (問)同保存会☎︎296・3311

 

 記事・写真 広石健悟


2024年7月6日号フロント

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