住んでいる地名の由来を調べたことはありますか。
例えば「大豆島」は、大豆栽培が盛んに行われた地であったことが由来といわれます。
「三輪」は美和氏が住んでいた所という説があります。
「徳間」は、古語で領主を意味する「とこ」が、領主のいたところの「とこま」になり、それがなまってついたようです。
「松代」は当時の城主であった森家が、武田家の残党に苦しめられ、復讐(ふくしゅう)の機会を待つために「待城」としたことに由来するそうです。
このように地名を調べるとその土地の歴史が分かります。角川日本地名大辞典に載っていますので、ぜひ調べてほしいと思います。
なぜ気象予報士の私が地名の話をするかというと、地名には災害に関する情報が含まれていることがあるからです。昔の人が経験から危険な場所に名前を残してくれています。
全国的に危険といわれるのが「蛇」のつく地名です。
「蛇抜」は「じゃぬけ」と読みます。土砂を蛇に例えていて、土砂が一気に山や沢を抜けていったことを表しています。2014年7月に南木曽町で土石流が発生しましたが、あの辺りには蛇抜という言葉が残っています。
また、意外かもしれませんが、「植物の名前」が入った地名も危険です。
「梅」には「うめ」られたという意味が含まれていることがあります。大阪の「梅田」はもともと「埋田」で、埋め立て地です。そのほかにも「栗」は「えぐり取る」という意味、「柿」は「土地がかける」という意味が込められていることがあります。災害のイメージをなくし、印象を良くするためにきれいな字に変えられてしまうのです。
関東甲信地方の平年の梅雨明けは7月19日ごろです。梅雨が終わると台風シーズンがやってきます。最近は大きな災害が頻繁に起きています。「今までは大丈夫でも、これからは大丈夫ではない」と意識を変えて、災害に備えてほしいと思います。
気象予報士
2021年6月26日号掲載