暖かい民家に移動 白い物に集まる習性
一年で最も寒い時期を迎えています。虫たちもそれぞれの方法で寒さを乗り越えていますが、成虫で越冬するものは、涙ぐましい努力をしています。
例えば、カメムシは成虫の姿で冬を越すというのに、残念なことに寒さにめっぽう弱いそうです。ある程度の寒さまでは枯れ葉や石の下などで耐えますが、耐えられなくなると最も暖かい場所へ移動します。それは民家です。冬が厳しい北海道では、他県に比べてカメムシが家で目撃されることが多いといわれています。
そして、カメムシが洗濯物にまざっていた経験がある方もいるのではないでしょうか。カメムシには「白い物に集まる習性」があるからです。
白色は太陽光を吸収せずに反射するため、洗濯物の近くにいることで、カメムシに熱が集まり、温まることができるというわけです。
カメムシにとっても、もう少しの間、寒さとの闘いが続きますが、来週の土曜日(2月4日)は「立春」で、暦の上では春になります。立春を過ぎたあとの冷え込みは、「余寒」や「寒の戻り」と呼ばれます。
特に「春一番」が吹いた時は、寒の戻りに御用心です。
春一番とは、日本海を通過する低気圧によって、立春(2月4日頃)から春分(3月21日頃)の間に吹く、強い南風のことです。
つまり、「春に入り、暴風がたびたび吹くようになりました」という防災上のお知らせです。
春の到来を感じさせる呼び名ですが、春一番の翌日は必ず気温が下がります。低気圧が日本の東へ抜けることで、西高東低の気圧配置に戻るため、季節が冬に逆戻りするのです。
長野で春一番の観測はしていませんが、北陸や東京などで観測された時は翌日の寒さに気をつけるようにしてください。
気象予報士・防災士
2023年1月28日号掲載