top of page

屏風・錦絵にみる川中島合戦

県立歴史館 開館30周年企画展

全国に6点がある川中島合戦図屏風のうち最も有名な2点を含む計3点を展示している

 千曲市の県立歴史館は、開館30周年記念秋季企画展「描かれた川中島合戦〜屏風・錦絵にみる戦の世界」を11月24日(日)まで開いています。


 今年は甲斐の武田信玄と越後の上杉謙信が信濃の領有権を争った「川中島合戦」の終結から460年の節目。戦国期の信濃の国の重要な出来事が、今日までどのように伝えられてきたのかを屏風や錦絵を通して改めて考えてもらおうという企画展です。


 現在知られる川中島合戦図屏風は全国に6点。今回は中でも特に有名な柏原美術館(山口県)の「岩国本」と和歌山県立博物館の「紀州本」を中心に、同館所蔵の6曲1隻屏風の3点を展示紹介しています。


 縦約1・5メートル、横約11メートルに及ぶ8曲1双の巨大な画面の岩国本は、信玄と勝頼の軍記「甲陽軍鑑」を基にしたもので、左隻には川中島の決戦のハイライトともいうべき信玄と謙信の一騎打ちの場面が描かれています。そこでは、馬にまたがった白頭巾の謙信が振り下ろした太刀を、軍配で受け止める信玄の描写を確認できます。一方、紀州本は、上杉方の軍記「北越軍記」を基にしたもので、信玄と謙信が御幣川に馬を乗り入れ、太刀と太刀で切りあう場面が描かれます。


 これら表現の違いから合戦図屏風は、何らかの意図の下に制作された作品で、それらが現在に伝わったものといいます。


 会場には、川中島合戦に関わる戦況の具体的な経過を伝える信玄の書状や、信玄の軍師山本勘助の実在を明らかにした文書、1561(永禄4)年の激戦を裏付ける文書など戦の実態を垣間見ることができる当時発給された文書の数々も並びます。


 開館時間は9時から17時。月曜休館(祝日の場合は翌日)。入館料は企画展のみ一般300円、大学生 150円、高校生以下無料。

 (問)同館☎️274・2000


2024年11月2日号掲載

bottom of page