書、版画、造形など5人 歴史ある藩校にアート
まちづくりの一助にも
松代町の旧松代藩文武学校剣術所を会場に、書、版画、造形など5人の現代アート作家が出展する現代アート「inclusive(インクルーシブ)」展が9月18日(水)から10月3日(木)まで開かれる。
企画した広告会社役員藤井邦博さん(56)が「その道を追究する姿勢が感じられるアーティスト」を募った。江戸時代後期に創設された歴史ある松代藩の藩校に足を運んでほしいという思いや、県内の廃校や廃駅などにアート作品を展示し、人の流れをつくり、まちづくりの一助にしたいという考えもあって企画した。
参加作家は伊藤倫さん、北山亨さん、クレッグ・シャノンさん、佐藤雅子さん、Cno(シーノ)さん。5人の作品は技法も展示方法もまったく異なる。学歴、性別、年齢や制作方法などの枠組みに縛られず、制作の幅を広げようと活動している。
佐藤雅子さんは、展示スペースの壁や床の素材、色を生かしたワイヤアートなど造形作品を展示する。佐藤さんは幼少期から海外で生活し、ニューヨークなどで活動。現在は県内に暮らす。海外のアーティストへの待遇や活動方法の良い面が日本でも取り入れられ、気軽に芸術にふれられる場が増えるといいと言う。「会場がとても素晴らしく、作品を置くのが楽しみ。自由に感じて受け止めて。来場者の声も聞きたい」。
藤井さんは「公的な空間にアートがあり、いつでも目にふれるような町になるといい」と話す。仕事帰りの駅や、立ち寄った公的施設など日常の景色の中で芸術にふれられる町を理想に描く。「作品を目にすることで日常から少しだけ離れて心を寄り道させてくれる。アートがそんな瞬間をつくってくれる」。
開館は9時から17時。入場料は一般400円、小中学生100円。
9月23日(月)13時から、作家によるギャラリートークを開く。前半は「多様性とは何か」、後半は「パブリックアートのまちづくり」をテーマに意見交換をし、相互理解を深める。
28日(土)は14時からと15時からの2回、北山亨さんのデジタルライブペイントがある。
会期中、製糸業で栄えた松代町にちなみ、会場で来場者がひもを結んでいく参加型の作品展示「むすんでつながる」を企画している。
(問)事務局☎︎090・7252・3389
記事・写真 竹内章世
9月14日号フロント