top of page

暑さに強いタマムシ

体温上昇防ぐ薄い層 翅の表面に幾重にも

 私たち人間がウンザリするような暑さのときには、虫たちの活動も鈍くなりますが、中には気温が35度を超える日でも元気に飛び回る虫がいます。

 「ヤマトタマムシ」もその一つです。全身が光沢のあるエメラルドグリーンの色をしていて日本の甲虫で最も美しいといわれ、法隆寺の玉虫厨子(たまむしのずし)の装飾にも羽が使われています。

 この虫は暑さに強く、夏の昼間にエノキやケヤキの周りを元気に飛ぶ姿が見られます。なぜ暑さに強いのか、その秘密は「翅」にあります。

 タマムシの翅の表面には薄い層が幾重にも重なっています。この翅が太陽の光を反射させ、体温上昇を防いでいるのです。

 太陽の光をさまざまな方向に反射させてキラキラ光るため、天敵である野鳥を驚かせて身を守る効果もあるようです。

 猛暑のときの典型的な天気図は、以前紹介した、太平洋高気圧が西日本から朝鮮半島付近で北に盛り上がって張り出す「クジラの尾型」が有名ですが、「太平洋高気圧+台風」も暑さが長引くことがあるため注意です。

 台風は上昇気流ですが、上昇した空気はどこかで下降しなければいけません。高気圧は下降気流を生み出すため、南側に台風があると、両方の下降気流が合わさることになります。台風が発達すればするほど、より高気圧が勢力を強め、晴れる一方で災害級の危険な暑さになることがあります。

 長野市がもつ最高気温の記録の1位から4位までは全て「8月半ば」に観測されているため、今年も今以上に暑くなる可能性があります。

 特に高齢者は暑さを感じにくいため、室内でも熱中症にかかることがあります。室温は28度に保つことが推奨されていますが、この28度は「室温」のことであって、エアコンの設定温度ではありません。高齢の方やご家族は部屋にも温度計を置いて室温をチェックし、熱中症を防ぐようにしてください。

 気象予報士・防災士


2024年7月27日号

Comments


bottom of page