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秋も蚊に注意を

35度超え 動き鈍く 活動時期がずれ込む

 昨年の秋、あるニュースに目がとまりました。「秋も蚊にご用心」。「夏」のイメージがある蚊ですが、最近は活動時期が秋へと変わってきているようです。

 人を刺す蚊のうち本州で多く生息しているのが、ヤブカとも呼ばれる「ヒトスジシマカ」です。この蚊は、気温25度から30度の環境では活発に活動しますが、35度を超えると動きが鈍くなります。地球温暖化によって今や夏は蚊にとって快適な季節ではなくなり、秋に活動時期がずれ込んできているのです。

 また、ヒトスジシマカは寒さに弱いため、秋の終わりに産卵し、卵の状態で冬を越します。メスの成虫が卵を産むためには「栄養」として血液が必要で、秋も吸血するため私たち人間を狙ってくるのです。

 ちなみに蚊に刺されやすい人は(1)お酒を飲む人(2)黒い服を着ている人(3)足がにおう人(4)体温が高い人の四つのタイプに分かれるそうです。乳児は体温が高いため、大人がしっかり対策をとってあげましょう。

  温暖化により、日本の年平均気温は、統計を開始した1898年以降、トップ5を直近5年が占めています。昨年が1位ですが、ここ最近の暑さを考えると今年がトップになってもおかしくありません。

 温暖化が進んでいる原因は、18世紀の産業革命以降の人間活動といわれています。化石燃料の消費が増え、二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガスの排出が増加したことで、ここ150年くらいで気温が急激に上がっています。

 このままだと蚊の季節が夏から秋に移るだけでなく、近い将来、日本の四季は「二季」になるかもしれないともいわれています。暑い夏の期間が長くなり、秋と春がほとんどなくなってしまう可能性があるそうです。

 「異常」ともいわれる暑さが「当たり前」になる前に、私たちに何ができるか改めて考えたいと思います。

 気象予報士・防災士


2024年8月31日号掲載

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