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野生の島のロズ

=1時間44分

長野グランドシネマズ(☎︎050・6875・0139)で公開中

(C)2024 DREAMWORKS ANIMATION LLC.

ロボットが無人島で 動物と愛と友情育て

 人間の生活をより快適にするために開発・製造されたロボットが、輸送中に嵐に遭遇し無人島に漂着し…。「野生の島のロズ」は、未来型ロボットと、野生の動物たちとのアドベンチャーを描いた、米国の作家ピーター・ブラウンの児童文学「野生のロボット」シリーズを原作にしたアニメ映画だ。


 ロズは、都市生活に合わせてプログラミングされた最新型お手伝いロボット。漂着した無人島で、偶然スイッチが入り目覚めたものの命令してくれる人間はいない。最初に会ったのは狂暴な熊。相手を求めてさまようロズの運命の出会いは、孵化した雁(がん)のひなのキラリと、獲物として近寄ってきたキツネのチャッカリだった。最初に見たロズを親と思いこんだひなに困惑するが、雁の子を「渡り」ができるように育てるという新たな使命に忠実に向き合ってゆく。果たして狂暴な野生の動物たちと共存し、島で生き残ることができるのか。


 本来ならば会話が不可能な動物たちだが、AI(人工知能)ならではの優秀な機能で動物言葉を習得し心を通わせていくロズ。お手伝いロボットとして、組み込まれたプログラムに忠実なロズの行動は見ていて気の毒になるほど。任務へのいちずさは笑いと感動を巻き起こす。


 初めは、動物たちの方が生き物として感情豊かに見えるが、子育てで接するひなとの間に心が芽生えたロズが、次第に機械ではなく母親のような優しさと厳しさを身に付け、人間らしく変化してゆくのが感動的だ。


 海、空、木々、花々。野生の島の自然の風景が美しい。鳥たちが「渡り」で一斉に飛び立つシーンは壮観だ。


 「シュレック」や「ボス・ベイビー」シリーズの作品で知られるドリームワークス・アニメーション30周年記念作品。手掛けたのは「リロ&スティッチ」「ヒックとドラゴン」シリーズのクリス・サンダース監督。アニメのスタイルを取りながら、ストーリーに込められたテーマは深い。AIが愛や友情など感情を持ったらどんな未来が待っているのか。米アカデミー賞の長編アニメ賞、作曲賞、音響賞の3部門にノミネートされている。吹き替え版でロズ役の綾瀬はるかの声が温かい。

(日本映画ペンクラブ会員、ライター)



2025年2月8日号掲載

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