長野市の「天空街道」巡りを 〜市商工会がHP開設
「芦ノ尻道祖神」「星空の郷たかの」など 山間地域の魅力発信
長野市商工会は、市内にあって、もっと観光資源として活用できそうな自然や文化、食などを巡るドライブ用の周遊ルートをまとめたホームページ「天空街道」を開設した。QRコードが入ったポスターやチラシを作製。銀座NAGANОや大阪・名古屋の県観光情報センター、県内道の駅、市商工会員のホテルなどに配布し、周知・PRに力を入れている。
周遊ルートは、市商工会が管轄する更北、川中島、若穂、七二会、信更、大岡、中条、豊野、戸隠、鬼無里の10地域をカバーする。目的や興味・関心ごとに選べるように、「自然探訪」「歴史と文化」「食と農業」「アドベンチャー」「四季折々の風景」「芸術とクリエイティブ」「露天風呂と温泉」「宗教とスピリチュアル」「長野の隠れた魅力発見」「天空のパノラマ鑑賞」の10コースを設定、一日ほどで周遊できるようにしている。各コースには特におすすめする「おったまげ」と名付けたユニークなスポットを設けている。
大岡で続く、正月のしめ縄で作る奇抜な表情の道祖神を飾った「芦ノ尻道祖神」や、5月にツツジが丘を覆う豊野町の「川谷つつじ山公園」、空気が澄み、星空の観測に最適な信更町の「星空の郷たかの」、川中島町にあり、全国で7番目に古い酒蔵とされる「酒千蔵野」、七二会で明治から大正時代に利用された蚕種(さんしゅ)貯蔵庫跡「大平の風穴」など、あまり知られていないスポットが点在し、サイトでは見どころを紹介している。
管内には、戸隠や鬼無里など知名度の高い観光地がある一方で、そうした地域に観光客が流れる傾向が強かった。2018年、当時の役員がほかの地域への誘客を目的に構想、管内6支所に協力を依頼し、「知る人ぞ知る名所」を提案してもらった。それを基に役員・担当者らが車で試走し、10のルートにまとめた。「天空街道」の名称は、ルートを巡る途中、高台から見下ろした市街地の景色が素晴らしかったことから付けられた。
市商工会の西沢純さんと山崎友美さんは「コロナ禍での中断を経て周遊ルートの完成、サイト公開まできた。今まで埋もれていたスポットだからこそ、有名観光地に行き尽くした長野ファンの心には刺さると思う」と胸を張る。「県外・市外に住む50代のドライブ好きの長野ファン」を想定しているが、今後は、サイト上に投稿欄を設け、周遊ルートにある施設と協力するなどして、山間地域の魅力を発信し、ファミリーや若いカップル、インバウンドへとファンが広がっていくようにしていきたいとしている。
記事 斉藤茂明
2024年11月9日号フロント