=1時間57分
長野グランドシネマズ☎︎050・6875・0139、イオンシネマ須坂☎︎214・6729で公開中

うそと真実絡み合い 最後までどんでん返し
恋愛小説家として知られるベストセラー作家コリーン・フーバーが新たな分野に挑んだ小説の映画化。「ヴェリティ/真実」は、ロマンスだけでなく人間の心の闇を鋭く描いた問題作だ。
人生に行き詰まっていた売れない小説家ローウェン(ダコタ・ジョンソン)に、意外な依頼が舞い込む。交通事故で寝たきりになった人気作家ヴェリティ(アン・ハサウェイ)のゴーストライターとして小説を完成させる仕事だ。資料を整理するために滞在した邸宅には、ヴェリティを支える夫ジェレミー(ジョシュ・ハートネット)と幼い息子が暮らしていた。大量に残されたメモからストーリーを仕上げていくうちに、偶然「運命のままに」と記されたヴェリティの自伝を発見する。そこには思いもよらぬ驚愕の告白が赤裸々に書かれていた。
読者を裏切らないために、可能な限り原作に忠実に描くことを大切にしたというマイケル・ショウォルター監督。ヴェリティとジェレミー夫婦の秘密を知り、不安に陥りながらも互いに引かれ合い深い関係になってゆくジェレミーとローウェンの官能的なシーンは、「氷の微笑」(1992年)「危険な情事」(1987年)など一世を風靡したエロティックサスペンスを思わせるかのように挑発的で妖しい。不気味な気配を漂わせる豪邸のフォルムは悲劇の主人公ヴェリティの頭文字のⅤ。印象的な真っ赤なドレスは血を連想させる狂気の色だ。
植物状態で無表情な病人、自信に満ちた人気小説家、母親であり愛される妻としての日々。いくつもの仮面を持つ複雑なキャラクターを演じたアン・ハサウェイは、作者のコリーン・フーバーに「完璧なヴェリティ」と言わしめた。今年公開された「プラダを着た悪魔2」「オデュッセイア」「隣人たち」などの出演作品とは全く違うジャンルでみせるアン・ハサウェイの演技力に圧倒される。
ローウェンの視点で目撃するヴェリティの異常な心理と行動。自伝に書かれた事件の真相と告発。うそと真実が絡み合いラストまで続くどんでん返しに観客は翻弄される。R15指定。
(日本映画ペンクラブ会員、ライター)
2026年11月7日号掲載
