1時間33分。
長野ロキシー(☎︎232・3016)で公開中。

(C)2025 Bombero International Gmbh &Co.Kg
ナチス・ドイツの敗戦 ドイツ国民の視点で
心酔するヒトラーの訃報に絶望し生気をなくした母の願いをかなえるために奔走する少年。戦後70年近くたって「私はヒトラーの毒見役だった」と告白したドイツ人女性。今夏、長野ロキシーで2週続けて公開される2本の映画は、ヒトラー独裁のナチス・ドイツの敗戦をドイツ国民の視点で描いた戦争映画だ。
「白パンと独裁者」は、12歳の少年が見た戦争の欺瞞(ぎまん)と真実を描く。ナチス親衛隊の父を持つ少年ナニングはドイツ北部のアムルム島に疎開中。妊娠中の母親と幼い兄弟たちのため、よそ者と疎外されながらもわずかな食料を手に入れるため働く日々だ。
心酔するヒトラーの死の衝撃で寝込んだ母親が望む白パンを求めてナニングは奔走する。島民と接し人間と戦争の本質にふれ成長してゆく少年。叙事詩のような島の風景や生物の営みを捉えた映像があまりにも美しく、言葉を超えて戦争の愚かさを際立たせる。
ヒトラーの毒見役
2時間3分。
長野ロキシー(☎︎232・3016)28日(金)から公開。

(C)2025 Lumiere & Co. / Tarantula / Tellfilm / Vision Distribution
2012年、ドイツ人女性が死の間際に告白した秘密。それはかつてヒトラーの毒見役をしていたという衝撃的な事実だった。戦後長い間知られてこなかった毒見役の存在を描いたベストセラー小説の映画化が「ヒトラーの毒見役」だ。
ベルリンの爆撃を逃れローザが避難してきたポーランドの田舎町。そこには極秘裡に総統大本営、別称「狼の巣」が造られていた。ローザとともに集められた7人の若い女性たちに下された命令は、総統と同じ、ぜいたくな料理を食べること。それは死と隣り合わせの苦悩の毒見でもあった。
2作品とも残酷なユダヤ人の虐殺や激しい戦闘シーンはないものの、ヒトラーの意外な素顔や、戦争末期の追い詰められた日常に潜む狂気が見事に描かれている。
(日本映画ペンクラブ会員、ライター)
2026年8月22日号掲載
