台風が左右する鳥の旅

状況の変化に合わせ何千キロもの移動調整

 今年は台風の発生数が非常に多くなっています。海を渡る鳥たちにとっても、台風は旅の予定を左右する存在です。

 白い体と黒い後頭部が特徴のカモメ科の鳥・エリグロアジサシは、沖縄で繁殖し、夏の終わりになるとフィリピン海を渡り、越冬地であるインドネシア方面へ向かいます。

 ただ、長い旅に出る時期はちょうど台風シーズンです。どのように旅立つタイミングを決めているのでしょうか。国立極地研究所と山階鳥類研究所などの研究グループは、追跡装置を使ってエリグロアジサシの渡りを調べました。

 すると、台風の多い年と少ない年で出発の時期に違いが見られました。

 台風が多く通過した年は、台風が通り過ぎた数日後に沖縄を出発する様子が確認されました。一方、台風の通過が少なかった2017年は、出発が大幅に遅れたそうです。その分、途中の中継地に立ち寄らなかったり、立ち寄っても短時間で済ませたりして、結果的にはほぼ同じ時期に越冬地へ到着していたのです。

 どうやって台風の多い少ないを把握しているのでしょうか。研究者たちは、鳥が単純に台風を避けているのではなく、台風によって餌となる魚が取りづらくなるなど、海の環境の変化が渡りのタイミングに関係している可能性があるとみています。状況の変化に合わせて、何千キロもの移動を調整する力に驚かされます。

 さて、今年は台風の発生が多い年となっています。1951年の統計開始以来、1月から9月まで毎月台風が発生したのは、1965年、2015年、そして今年の3回だけです。

 過去に日本に大きな被害をもたらした台風の多くが「秋」に発生しています。秋になると太平洋高気圧の勢力が弱まることで、台風の通り道となる高気圧の縁が本州付近にかかり、日本付近へ進みやすくなるためです。
 台風シーズンはまだ続きます。引き続き最新の台風情報に注意してお過ごしください。

(気象防災アドバイザー・気象予報士・防災士)

2026年9月26日掲載

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