46 糖尿病の食事療法 ~最も有効な「糖質制限」食事

 これまで4回にわたって、恐ろしい糖尿病の合併症について述べました。糖尿病合併症を起こさないために、現在糖尿病を患っている方は「糖尿病を改善したい」と思われたでしょうし、まだ糖尿病になっていない方は「そもそも糖尿病にならないようにしたい」と思われたことでしょう。それでは、糖尿病を改善する、もしくは糖尿病にならないようにするには、どうすればいいのでしょうか。

 「糖尿病を改善する最も有効な手段は薬である」と思われている方は読者の中にも多数いらっしゃると思います。確かに最近では副作用が少なくて、血糖降下作用の強い薬が出てきています。しかし、私の答えは「No」です。私はどんな薬よりも効果があるのが、糖質摂取を減らす「糖質制限」の食事だと確信しています。なぜなら、糖尿病は元来糖質を取り過ぎるが故になってしまう病気だからです。糖を取れば血糖値が上がりますし、糖を取らなければ血糖値が下がります。血糖値の増減は、糖質摂取量と密接に関係しているのです。

 現在糖尿病の方は、自分の胸に手を当てて、これまでどんなものを食べてきたか振り返ってみましょう。特殊な糖尿病の方を除けば、お菓子や果物、ご飯やパン、麺類などの糖質をたくさん取ってきたに違いありません。「お菓子や果物など甘いものは血糖値を上げるのは知っているけど、ご飯やパン、麺類など甘くないものも血糖値を上げるの?」と不思議に思われる方もいるかもしれませんが、その答えは「Yes」です。
 例えば、茶わん1杯のご飯とショートケーキ1個の糖質量は約50gで、ほぼ同じくらいの糖質量です。私の外来には、「甘いものは好きではないので全く取らないけど、ご飯や麺類が大好きで毎日たくさん食べていました」という方が糖尿病になって受診されることもよくあります。いわゆる主食には糖質がたくさん含まれているのです。したがって糖尿病の方には「糖質を取り過ぎたから糖尿病になってしまった」というふうにシンプルに考えていただければと思います。

 食べ物にはさまざまな栄養素が含まれていますが、3大栄養素という言葉をご存じでしょうか。答えは「糖質」「脂質」「たんぱく質」です。まず、この3大栄養素について理解することが、糖尿病の食事療法を理解する上で、非常に重要になってきます。「糖質」は炭水化物から「食物繊維」を引いたもので、先ほど述べましたように、ご飯やパン、うどん、ラーメンなどの主食、砂糖、果物、牛乳、根菜類などに多く含まれています。糖質は脳や筋肉が働くための重要な役割を果たしています。「脂質」は、細胞膜やホルモンの構成成分であり、私たちの体にとって欠かせない栄養素です。肉の脂肪、調理用油、バター、ナッツなどに多く含まれます。「たんぱく質」は食べ物の中で一番重要な栄養素で、私たちの筋肉や臓器、皮膚、毛髪、爪、血液などをつくる原料であり、肉や魚、卵、大豆製品などに多く含まれます。

 「糖尿病は糖質の取り過ぎでなる病気だから、糖尿病の予防・治療には糖質制限が最も有効である」ということは大半の方が理解していただけると思います。しかし、「糖質制限」という言葉から、息苦しさを感じて実践できていない方が多いのも事実だと思います。糖質制限は食べられないものばかりではありません。糖尿病の改善あるいは予防のためには、食事の量を減らすのではなく、食事の質・内容を変えてほしいのです。

 糖質を控える代わりに、魚や肉、大豆製品などのたんぱく質の豊富なおかずをしっかり食べることが糖尿病の予防・治療に最も有効です。

 次回以降、糖尿病の食事療法についてさらに詳しく述べていきたいと思います。

 〈第4土曜日に掲載〉

2025年12月20日号掲載

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