=1時間41分
長野グランドシネマズ(☎︎050・6875・0139)、イオンシネマ須坂(☎︎214・6729)で公開中

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愛犬と遭難の退役軍人 極限状態からの脱出
「ハート・オブ・ビースト」は、遭難した退役軍人と愛犬が、極限状態からの脱出に挑むサバイバル映画だ。
退役軍人のジェームズ(ブラッド・ピット)は、アラスカの奥地で愛犬オーディンを連れて静かな時間を過ごしていた。オーディンは元軍用偵察犬で、激しい戦場で共に何度も死線を乗り越えた戦友であり心強いバディ(相棒)だった。
嵐が接近し帰路で飛行機が墜落。しかもそこは魔の領域(ハート・オブ・ビースト)と呼ばれる、人が立ち入ることが許されない荒野だった。
遭難を知る者も助けに来る者もいない。100㌔先の人里を目指し、自力で山を越えて歩かなければならない。行く手を阻むのは厳しい断崖や急流、そして命を狙う狂暴な野生動物たち。果たして生きて帰還できるのか。
ただのサバイバル映画と一線を画すのは、「2人」としか言いようがないジェームズとオーディンが生きてきた絆の強さだ。子犬の頃から偵察犬としての訓練を受け、ジェームズと戦場に出動したオーディンは、銃で撃たれて右前足を失った義足の犬だった。顔に残る傷跡は勇者の証だ。
PTSD(心的外傷後ストレス障害)のトラウマを抱えるのは人だけではない。何度もフラッシュバックする戦場の記憶はジェームズもオーディンも同じだ。人と犬が同じ悪夢を見ては苦しむ。ジェームズを心配そうに見上げるオーディンの黒い瞳。ジェームズの穏やかな声に安心したように膝にもたれかかり眠りに落ちる。そしていざというときには命懸けで敵に立ち向かう。
情感たっぷりに寄り添うオーディン役はジャーマンシェパードのウーパー。役者犬ではなくニュージーランドで実際に救助犬として活躍しているだけに、勇猛果敢で機敏な動きは迫力満点だ。
共演する俳優はオスカー俳優のJ・K・シモンズらわずか2人。スクリーンの主役は人と犬と大自然。沈黙するアラスカの荒野は雄大で美しいだけでなく残酷で、豹変する天気が牙をむく。圧倒される大自然の脅威に挑む信頼と絆の物語だ。
(日本映画ペンクラブ会員、ライター)
2026年9月26日号掲載
