55 高糖質なファストフード

「糖質だけ」にしない食事を

 「忙しいから、お昼はおにぎり二つで済ませました」
 「朝は菓子パンと缶コーヒーです」
 「時間がないので、うどんだけ食べました」


 患者さんから、このような話を聞くことは少なくありません。一見すると、食事をきちんと取っているように思えます。しかし、その内容を見てみると、驚くほど糖質に偏っていることがあります。
現代は「手軽さ」が重視される時代です。コンビニに行けば、おにぎり、サンドイッチ、菓子パン、カップ麺、パスタ、丼物など、すぐに食べられる商品が並んでいます。ファストフードも一般的に糖質が多いものが多く、特にハンバーガーやフライドポテト、ドリンクのセットメニューは高糖質です。どれも便利ですが、その多くは主成分が糖質です。糖質は脳や筋肉にとって大切なエネルギー源ですが、取り方を間違えると健康を損なう原因になります。


 例えば、おにぎり二つとジュース。うどん一杯。菓子パン二つ。これらは満腹感が得られても、たんぱく質や食物繊維、ビタミン、ミネラルが不足しがちです。その一方で糖質だけは一度に大量に体へ入ってきます。
 糖質を急にたくさん取ると、血糖値は急上昇します。すると血糖値を下げるためにインスリンというホルモンが大量に分泌されます。この状態が毎日のように繰り返されると、肥満や糖尿病だけでなく、脂肪肝、動脈硬化など生活習慣病のリスクも高まります。吸収の速い精製された炭水化物や加工食品に偏る食生活は、こうしたリスクを高めてしまいます。


 私のダイエット外来に来られる患者さんの多くが、「甘い物は食べていません」と言いますが、実際に食事内容を聞くと、お昼はラーメンだけ、夜は牛丼だけ、朝は食パンだけという人が少なくありません。本人は糖質を多く取っている自覚がないのです。


 これは、日本人の食文化にも理由があります。海外では肉料理や魚料理に野菜を組み合わせることが多い一方、日本では丼物、麺類、カレーライスなど、「一品で食事が完結する」メニューが非常に人気です。もちろんこれらが悪いわけではありませんが、単品だけでは糖質過多になりやすいことを知っておく必要があります。では、どうすればよいのでしょうか。


 難しいことをする必要はありません。食事を「糖質だけ」にしないことです。


 例えば、「おにぎりだけなら、ゆで卵やサラダチキンを加える」「菓子パンではなく、全粒粉パンにチーズや卵を組み合わせる」「コンビニでも、サラダや豆腐、納豆、ヨーグルトなどを一品追加する」というような工夫だけで、栄養バランスは大きく改善します。最近のコンビニは、たんぱく質や野菜を取り入れやすい商品も増えています。「手軽だから選ぶ」のではなく、「体が喜ぶ組み合わせを選ぶ」という意識を持つことが大切です。
私たちの体は、昨日食べたものでできているのではなく、毎日の積み重ねでできています。忙しい毎日だからこそ、手軽さだけで食事を選ぶのではなく、「何を一緒に食べるか」を少し意識してみてください。その小さな積み重ねが、10年後、20年後の健康を大きく左右するのです。


 そして、現時点で肥満・糖尿病がある方は、より一層糖質摂取を控える「糖質制限」が必要になるかもしれません。場合によっては、極力主食や甘い物を取らないようにしなければ、自分の理想とする体重にならない人もいることでしょう。その際、ただただ糖質を減らすという考えではなく、主食を取らない代わりに、おかずを一品加えるというような考え方の「おかず食べダイエット」という認識が窮屈にならず、長続きしやすいと思います。「おかず食べダイエット」を詳しく学んでみたいという方は、ぜひ当院ダイエット科までお問い合わせください。

2026年9月26日号掲載

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