前回は老化の3大要因「糖化」「酸化」「炎症」について述べました。今回はそのうちの一つである「糖化」について詳しく説明します。

そもそも糖化とは一体何だったでしょうか? お忘れの方も多いと思いますのでもう一度復習しましょう。糖化は、糖質とたんぱく質が加熱により結びつき、変性してしまうことで起こります。この糖質とたんぱく質が結びつく現象のことを「糖化反応」と呼び、それにより生成されたものを「AGEs(終末糖化産物)」といいます。
AGEsは老化を促進し、寿命を縮める物質として近年注目されています。AGEsが体内で蓄積すると、肌に悪影響をもたらし、しわやたるみ、しみの原因となってしまいます。また、AGEsは髪を作る細胞にも影響し、薄毛の原因になることも分かっています。
さらに、AGEsの増加は、容姿だけではなく、健康寿命を縮める原因にもなります。AGEsは血管を老化させるといわれており、動脈硬化を進行させ、脳梗塞や心筋梗塞を引き起こしてしまいます。糖尿病合併症(網膜症、腎症)や、がんの発症にも深く関係しており、AGEsが蓄積すると骨や関節がボロボロになって、骨粗しょう症や変形性関節症をきたしてしまいます。そのほか、アルツハイマー病、歯周病、白内障などにもAGEsは関与しています。
それではAGEsはどうして体内で増えてしまうのでしょうか。 分かりやすい例としてホットケーキを思い浮かべてください。ホットケーキを作るときに、こんがりと焼けて褐色になっていきますが、これはホットケーキに含まれる小麦粉や砂糖の「糖質」が、卵や牛乳などの「たんぱく質」と加熱により結びついて変性し、AGEsが生成されることで褐色になるのです。
その他、身近なところだと、お好み焼き、ステーキ、焼き鳥、炒めた玉ネギなど、こんがり焼けたものに見られます。いわゆる「コゲ」ですが、これらは「食品が生成される過程で起きる糖化」です。AGEsの含有量は、フランクフルトやローストビーフ、ポテトチップスなどの加工食品、「焼く」「炒める」「揚げる」といった高温調理をしたものに多く含まれることが分かっています。調理方法としては、「ゆでる」「蒸す」「煮る」の方がAGEsは少なくなり、生野菜や刺し身などの生の食品はさらにAGEsが少なくなります。
そんなことばかり気にしていると、人間の食生活の楽しみが損なわれてしまいますので、気にし過ぎない方がよいと思います。ただし、食事で摂取したAGEsの約10%が体内に吸収され、約7%が残留する可能性があるといわれていますので、少しは気にかけた方がいいかもしれません。
この「食品が生成される過程で起きる糖化」よりもはるかに重要なのが、「人間の体内で起こる糖化」です。「人間の体内で起こる糖化」は、体に必要エネルギーを超えて過剰に摂取した糖質と、体の構成成分であるたんぱく質が結びつき 体温で熱せられて糖化反応をきたし、大量にAGEsを産生してしまいます。現代人はデスクワーク、車での移動、ネット通販など活動量が乏しく、摂取した糖質を消費できないことが多い傾向にあります。
糖質は、ご飯やパン、麺類などの主食、芋類、菓子、果物、根菜類などに多く含まれており、これらを極力控える「糖質制限」がAGEsの産生を抑え、AGEsによる老化を防止する最も有効な手段です。糖質制限について勉強したい方は、ぜひ私の著書である「イラスト&図解 ゼロから知りたい!糖質の教科書」(西東社)をお読みいただければと思います。次回は、もう一つの老化の要因である「酸化」についてです。
2022年6月25日号掲載
