33 内臓脂肪過多 ~生活習慣病に最も悪影響

 生活習慣病とは、食習慣、運動習慣、飲酒、喫煙、ストレスなどの「生活習慣」が、その発症や進行に大きく関与している病気のことをいいます。代表的なものとして、肥満、糖尿病、高血圧、脂質異常症、高尿酸血症、心疾患、脳血管疾患、がんなどがあります。生活習慣病の恐ろしいところは、日常の習慣が少しずつ身体へ悪影響を及ぼし、気が付いたら死につながる病気になっていることです。死まで至らなくても日常生活に支障が出たり、介護が必要になってしまったりします。また、病気の要因が身に付いた習慣であるため、それを取り除きにくい面もあり、病気が慢性化して進行していってしまいます。

 この生活習慣病のほぼすべてに内臓脂肪過多が関係しています。したがって、内臓脂肪の増加が生活習慣病の予兆であり、内臓脂肪が多い内臓脂肪型肥満こそが生活習慣病にもっとも悪影響を及ぼします。

 それでは、生活習慣病の元凶である内臓脂肪はなぜ増えてしまうのでしょうか? そのメカニズムについてみていきましょう。食事などで摂取した「摂取エネルギー」が日常生活で消費する「消費エネルギー」を超えると、余ったエネルギーはすべて肝臓で中性脂肪に合成されます。この中性脂肪とは、健診の血液検査で測定される中性脂肪と同じものです。肝臓で合成された中性脂肪は血液中を流れて、内臓脂肪や皮下脂肪などの体脂肪になります。このため、食べ過ぎや飲み過ぎを続けていると、エネルギーが余ってしまい、内臓脂肪が蓄積されるのです。運動不足もエネルギーが余ってしまうので、内臓脂肪蓄積の原因となります。

 体脂肪には内臓脂肪、皮下脂肪、異所性脂肪の3種類がありますが、最初に蓄えられるのは、皮膚のすぐ下にある皮下脂肪です。皮下脂肪として蓄えきれなかった中性脂肪は、内臓の周りにつく内臓脂肪として蓄えられます。

 私たちが食事から得る三大栄養素(糖質、脂質、たんぱく質)はすべて最終的には中性脂肪となり、エネルギーとして消費しきれないと、体脂肪になりますが、三大栄養素のうち、いちばん体脂肪になりやすい栄養素は何だと思いますか? 言葉のイメージから「脂質」と答える人もいるかもしれませんが、実は「糖質」です。というのも、「脂質」や「たんぱく質」は体の構成成分で新陳代謝に使われるのに対し、「糖質」はエネルギー源にしかならないため、糖質はもっとも余りやすく、体脂肪になりやすいのです。

 体脂肪は本来、将来エネルギー不足に陥った時のためのエネルギーを貯蔵しておくという役割があります。ただ現代日本では、飢餓状態になるようなことがほとんどないため、貯蔵した体脂肪が使われることなく、内臓脂肪として蓄積してしまい、生活習慣病を引き起こしてしまうのです。

 食習慣は何げなく身体に悪いものを摂取していることが多く、「そんなに食べていないのに、肥満になってしまった」と嘆いている患者さんを多数診察してきました。しかし、詳しく食習慣を問診すると、「食後のデザートは必須。甘いものは別腹」「締めのご飯や麺類がなければ、食事とは言えない」「間食のおやつがないと調子がでない」「夜食にカップラーメンか菓子パンを食べないと眠れない」というように、糖質の取り過ぎの食習慣をお持ちの人ばかりでした。

 習慣化しなければ病気にまでならないのが生活習慣病ですが、糖質は中毒性が強く、常習化してしまい、思いもよらない重病にまで至ってしまうのです。生活習慣病をお持ちの人は、体質や遺伝、年齢のせいにするのでなく、生活習慣、特に食習慣を見直してみましょう。糖質を取り過ぎている人が大勢いると思います。以上のことから、糖質制限は生活習慣病改善の第一歩と考えてもらって差し支えありません。

2024年11月23日号掲載

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