前回の記事で「内臓脂肪型肥満」について述べました。読者の中には、「BMIは25未満だし、私は肥満じゃないから関係がない」と考えている人がいるかもしれません。しかし、油断は禁物です。

まずBMI(Body Mass Index)についておさらいしましょう。BMIは、日本語訳では体格指数といい、肥満度を評価する指標として広く用いられています。一般的に「肥満」は、BMI(体重[㎏]/身長[m]2乗)が 25 以上の場合に判断されます。しかし、BMIが低くても体脂肪が多い人や、筋肉が多くて体重が重くなりBMIが高くなる人もいます。つまり、BMIによる肥満度の評価は、体脂肪率や筋肉量など体成分の評価が含まれていないため、BMIが標準範囲内でも、必ず健康的な状態であるとは言えません。
「隠れ肥満」とは、体脂肪率が高いが、外見では「肥満」と判断がつかない状態を言います。
男性より女性で多く、日本人をはじめとするアジア人は「隠れ肥満」 が多いといわれています。隠れ肥満は、筋肉量が少なく、相対的に体脂肪、特に内臓脂肪の量が多くなっている状態です。近年、BMIや腹囲の数値は正常で、見た目も全く太っていないにもかかわらず、実は内臓脂肪をたっぷりたくわえている隠れ肥満が増えてきています。
隠れ肥満の人は、一見すると太っているようには見えませんが、体内にはたくさんの内臓脂肪がついている状態です。そのため、生活習慣の改善やダイエットに意識が向いていない人が多いのです。もしかしたらあなたも隠れ肥満かもしれません。隠れ肥満は、BMIや腹囲ではわからないので、健康診断などでも発見されにくく厄介です。また、筋肉量が減っているため、基礎代謝が低下して、体脂肪の蓄積が起こりやすいという悪循環に陥りがちです。
隠れ肥満は、もともと筋肉量が少ない女性や高齢者に起こりやすいのですが、運動不足や過度のカロリー制限によるダイエットでも筋肉量が減ってしまうため、隠れ肥満を引き起こす可能性があります。
話は変わりますが、日本人の糖尿病患者の平均BMIは23程度であり、肥満とされるBMI25以上でなくても、2型糖尿病を発症しやすいと考えられています。このような肥満のない糖尿病の患者さんの大半が、筋肉量が少なく、相対的に体脂肪、特に内臓脂肪の量が多くなっている隠れ肥満の状態と私は考えています。
隠れ肥満に近い言葉として、「やせメタボ」という言葉もあります。腹囲は正常だけれども、高血糖・高血圧・脂質異常症のうち二つ以上の異常をきたす人のことを「やせメタボ」といい、こちらも近年増加傾向にあります。もちろん、隠れ肥満の多くが、やせメタボを合併しています。みなさんもぜひ、近隣の病院の人間ドックなどで内臓脂肪測定のCTを受けてみてください。案外基準値の100㎠を超える内臓脂肪過多の人も多いのではないでしょうか。
このような隠れ肥満・やせメタボの人は、必ずといっていいほど「主食」や「甘い物」などの糖質を取り過ぎています。ですから、内臓脂肪を減らすべく、まずは糖質を制限すべきです。しかし、隠れ肥満・やせメタボの人は、食事の量を減らすことはせず、糖質を控える代わりに、魚・肉・大豆たんぱく質の豊富な食品をしっかり食べて、なおかつ無酸素運動(筋トレ)を積極的に行って筋肉量を増やす必要があります。
つまり、隠れ肥満・やせメタボの人に最適の食事療法は主食を控えておかずを積極的に食べる「おかず食べダイエット」であり、最適の運動療法は「筋トレ」なのです。その詳細な内容については私の著書「イラスト&図解 ゼロから知りたい! 内臓脂肪の教科書」(西東社)に書いていますので、隠れ肥満・やせメタボが心配だと思われる人はぜひお手に取っていただければと思います。
2025年1月25日号掲載
