02 老化と病気 ~機能が低下し臓器に変化

 人は生まれてから亡くなるまで、常に何かしらの変化が体に起きています。ある時までは「成長」と呼ばれますが、成人し、成熟期を迎えると、そこから先は「老化」と呼ばれるようになります。老化とは一般的に、成熟期以降に起こる生理機能の衰退を意味し、遺伝的な要因や、外部からのストレスに対する適応力が低下することで起こる変化と考えられます。

 時の流れるスピードはすべてのヒトに共通のものであり、同じ日に生まれた人は同じスピードで暦年齢を重ねていきますが、成長のスピードに個人差があるのと同様に、老化のスピードにも個人差があります。また、体の中の組織や細胞によってもそのスピードが変わってきます。一部の組織の老化が進んでも、他の組織は実年齢よりも若い、ということもあり得るのです。
 ただ、一般的には、中年期(40~64歳ごろ)の早期から多くの身体機能の低下が見られるようになります。若い頃は老化細胞を取り除き、新しい細胞に変わることで老化を防ぐメカニズムが働いていますが、年齢を重ねるにつれて細胞の入れ替わりが見られなくなり、古い細胞の割合が増えることによって徐々に身体機能が低下していきます。

 老化による身体機能の低下は、全身のあらゆる臓器に現れます。代表的な症状について挙げていきます。
 脳神経系では、脳の萎縮や脳細胞の減少、脳の信号を伝える神経伝達物質の働きが低下することにより、認知機能が低下し、認知症を発症しやすくなります。 心血管系では、左心室の肥大や冠動脈(心臓を栄養する血管)の硬化といった心臓の変化が見られ、心肥大、心不全、高血圧といった病気を引き起こしやすくなります。
 呼吸器系では、酸素と二酸化炭素を交換する働きを担う肺胞の数が減少したり、肺の弾性力が損なわれたりすることで、呼吸機能の全般的な低下が見られます。また、食べ物を飲み込む力が低下することで、誤嚥性肺炎を引き起こしやすくなります。

 消化器系では、消化管運動が低下することで便秘や逆流性食道炎といった症状がみられることもあります。腎泌尿器系では、腎臓のろ過作用が低下し、尿が出にくくなり、むくみやすく血圧も上がりやすくなります。

 骨格系では、骨量や骨密度が低下し、骨粗しょう症、骨折を引き起こします。また、関節にありクッションのような役割を果たす関節液や滑膜の機能が損なわれることで関節炎が見られることもあります。筋肉量の減少(サルコペニア)は30歳ごろから始まり、筋肉量と筋力が次第に低下します。この筋力低下によって、一部の関節(膝など)にかかる負荷が増え、関節炎や転倒が起こりやすくなることがあります。

 そのほか、視力の低下、聴力の低下、容貌の変化(白髪、薄毛・抜け毛、顔のしみやしわ、たるみなど)、性機能の低下、更年期障害、前立腺障害、歯周炎・歯の消失なども老化の特徴的な症状です。また、忘れてはいけないのが、高齢者のがんも老化現象の一つであるということです。すべてのがんで言えることですが、がんは末期になるまで症状が出ないことが多く、無症状におこる老化といえます。

 このように老化はスピードの差があるものの、人体のあらゆるところで誰にでも起こる変化です。次回は老化の要因についてみていきたいと思います。

2022年4月23日号掲載

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