27 早い段階で適切な治療を ~生活の質を著しく 低下させる帯状疱疹

 帯状疱疹とは、子どもの頃に感染する水痘と同じウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス)で起こる皮膚の病気です。このウイルスはヘルペスウイルスの一種であり、口唇ヘルペスや性器ヘルペスと同様に、一度でも感染すると体内の神経節に潜み、無症状の潜伏期間を経て、加齢やストレス、過労、病気などで免疫力が低下した時に症状が出現します。50歳以上で発症率が増加し、80歳までに約3人に1人が発症するといわれています。

 帯状疱疹の主な症状は皮膚症状と神経痛の二つがあります。まずは皮膚症状について詳しく述べたいと思います。帯状疱疹は通常、体の左右どちらかに多数の赤い発疹が帯状に広がり、その上に小さな水ぶくれが生じてきます。帯状疱疹という病名は、このような皮膚症状の特徴に由来しています。帯状疱疹は、発疹が見られる数日~1週間前から痛みや痒(かゆ)みを感じるようになります。発疹が出現して1週間程度経過すると、水疱が多発するようになり、発熱、頭痛などの症状もみられることがあります。通常は2~4週間で皮膚症状が治まります。

 症状がよく現れる部位として肋間神経のある胸や背中が挙げられますが、顔、おなか、手、足、お尻など体のどこにでも出現します。重症の場合には、全身に水痘のような発疹を生じることがあります。

 次に帯状疱疹の神経痛についてですが、神経痛は急性期の痛みと帯状疱疹後神経痛に分けられます。急性期の痛みはしばしば発疹の出現よりも前から現れ、体の左右いずれかの皮膚にピリピリ、チクチクとした痛みを感じます。帯状疱疹後神経痛は皮疹が治った後も数カ月から数年にわたって続く頑固な痛みです。

 「焼けつくような」電気が走るような」と表現される特徴的な痛みで、衣類がこすれたり、冷風が当たったりするだけでも強い痛みが引き起こされることがあります。症状には個人差があり、人によっては夜も眠れないほどの痛みを生じることもあります。帯状疱疹後神経痛は年齢が高くなるほどリスクが高くなります。

 これが原因でうつ病や不眠に悩まされる方もいます。また、何年もこうした症状が続くケースもあります。帯状疱疹が重症化すると自殺を考えるほどの痛みを伴うことがあるとも言われており、顔面では顔面神経の動きが悪くなりますし、眼の付近にできると失明の危険性もあります。また、下肢にできると歩行困難となり寝たきりになる場合もあります。私の父は普段活動的で家でじっとしていることのない人ですが、最近帯状疱疹になり激しい痛みのため、数週間家でふさぎ込んでいたようです。

 このように著しく生活の質を落としてしまう帯状疱疹ですが、治療法としては、主にウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬の服用および痛み止めの服用が行われます。帯状疱疹が治っても激しい痛みが持続する場合、ペインクリニックの受診が必要になることもあります。帯状疱疹は症状が出てからできるだけ早く抗ウイルス薬の服用を開始すれば、回復が早まるといわれていますので、早い段階で皮膚科を受診し適切な治療を受けることが重要です。また、50歳以上の人はワクチンを接種することで、発症予防、重症化予防が期待できるとされています。帯状疱疹の予防を積極的に考えたい方には、皮膚科を受診してワクチン接種することをおすすめします。

 帯状疱疹の原因となる水痘・帯状疱疹ウイルスに対しては、成人の9割以上が抗体を持っていることから、既にほとんどの人が感染していると考えられ、誰もが帯状疱疹を発症するリスクがあります。帯状疱疹の重症化予防には、ワクチン投与や早期治療が必要なことを知っていただければと思います。

2024年5月25日号掲載

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