48 食事における3大栄養素 ~よく理解し生活習慣病予防

 今回は肥満や糖尿病の食事療法についての理解を深める上で、知っておいた方がいい栄養学の基礎知識についてふれたいと思います。

 食べ物にはさまざまな栄養が含まれています。具体的には、ビタミン、ミネラル、たんぱく質、食物繊維…といろいろな栄養素があります。それではみなさん、3大栄養素をご存じでしょうか。それは「糖質」「脂質」「たんぱく質」です。言われれば当然と思われる方が多いかもしれませんが、ダイエット外来を受診される患者さんにこの質問をすると、意外と答えることができません。この3大栄養素について理解することが、肥満や糖尿病などの生活習慣病を予防する上で非常に重要になってきます。ちなみに5大栄養素とは、この三つの栄養素に「ビタミン」「ミネラル」を加えたものです。

 「糖質」のところを「炭水化物」と考えた方もいるかもしれませんが、厳密には「炭水化物」は「糖質」と「食物繊維」で構成されるものであり、「炭水化物」に含まれる「食物繊維」の量はごくわずかなので、「炭水化物」≒「糖質」と考えてもらって差し支えありません。

 「糖質」は、具体的にはご飯やパン、うどん、そば、ラーメン、パスタなどの主食に含まれるでんぷんや、甘味料として利用される砂糖、果物に含まれる果糖、牛乳に含まれる乳糖などを指します。糖質は1g当たり4kcalのエネルギーを供給し、脳や筋肉が働くための重要な役割を果たしています。

 「脂質」は、約37兆個あるといわれる人体の細胞の細胞膜やホルモンの原料であり、私たちの体にとって欠かせない栄養素です。また、「脂質」からは1g当たり9kcalと、3大要素の中で最も高いエネルギーを得ることができます。調理用油、肉の脂肪、バター、ナッツなどに多く含まれます。

 「たんぱく質」は、私たちの体にとって最も重要な栄養素で、筋肉や臓器、皮膚、毛髪、爪、血液、酵素、抗体などをつくる原料であり、1g当たり4kcalのエネルギーを得ることができます。肉や魚、卵、大豆製品などに多く含まれます。

 それでは、みなさんに質問です。すごく疲れたなぁと思う時に、「チョコレートひとかけら」と「ステーキひとかけら」ではどちらを食べたいですか。 ほとんどすべての人がチョコを選ぶと思います。それは、本能的にチョコの方が、体力回復が早いことを知っているからです。肉は「脂質」と「たんぱく質」からできているので、「糖質」の塊であるチョコよりもカロリーは高いですが、素早くエネルギーとなる効率の良さでは「脂質」や「たんぱく質」よりも「糖質」に軍配があがります。私はよく、車の燃料に例えて、「糖質」をハイオクガソリンに、「脂質」「たんぱく質」をレギュラーガソリンと考えてくださいと患者さんに教えます。「糖質」とは、ハイオクガソリンのように非常にエネルギー効率の高い栄養素なのです。

 「糖質」が「脂質」や「たんぱく質」と最も異なるところは、私たちの体の構成成分として使用されることはなく、エネルギー源としてのみ使用されるということです。食事で摂取した「摂取エネルギー」が日常生活で消費する「消費エネルギー」を超えると、余ったエネルギーは体脂肪として蓄積されますが、3大栄養素の中で「糖質」が最も体脂肪として蓄積されやすいという特徴があります。

 冷暖房完備の中でのデスクワーク、車での移動、ネット通販で買い物をするというような活動量の少ない日々を過ごしているにもかかわらず、1日3回のご飯に加え、お菓子や果物を頬張る、というような方が多いのではないでしょうか。このように活動量に見合わない糖質の過剰摂取は、肥満・糖尿病へ突き進んでいく元凶なのです。

〈第4土曜日に掲載〉

2026年2月28日号掲載

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