49 吸収されやすい糖質 ~体脂肪として蓄積されやすく

 前回、食事における3大栄養素について解説しました。3大栄養素とは何でしたか? 答えは、「糖質」「脂質」「たんぱく質」でしたね。忘れてしまった方は、前回を読んで、復習していただければと思います。

 「糖質」が「脂質」や「たんぱく質」と最も異なるところは、私たちの体の構成成分として使用されることはなく、エネルギー源としてのみ使用されるということです。食事で摂取した「摂取エネルギー」が、日常生活で消費する「消費エネルギー」を超えると、余ったエネルギーは体脂肪として蓄積されますが、3大栄養素の中で「糖質」が最も体脂肪として蓄積されやすいという特徴があります。

 「糖質」が体脂肪として蓄積される過程を詳しく見ていきましょう。体内に取り入れられた「糖質」は、消化・分解されブトウ糖に変化し、小腸から吸収されて肝臓に送られます。そして、血液を通じて各組織に運ばれ、最終的に二酸化炭素と水に分解されます。その過程で「糖質」はエネルギーを供給しますが、「糖質」を過剰摂取すると、体内のブドウ糖も過剰になります。

 過剰になったブドウ糖は、将来の大きなエネルギーを要するような活動に備えて、肝臓や筋肉にグリコーゲンとして蓄えられます。ただしグリコーゲンとして蓄えられる量には限界があり、蓄えられなかった余分なブトウ糖は脂肪組織に運ばれて、脂肪に変化し、体脂肪として蓄積されます。

 「糖質」が体脂肪として蓄積されやすいもう一つの理由として、「脂質」や「たんぱく質」よりも非常に吸収されやすいという点が挙げられます。3大栄養素の吸収率は、「糖質」が約99%、「脂質」と「たんぱく質」が約90%となっています。しかも「脂質」を過剰摂取すると、この理論上の吸収率はさらに低下すると考えられます。みなさんは焼肉を食べ過ぎた後に下痢をしたような経験はありませんか? その原因は脂肪分の取り過ぎにあります。「脂質」は消化に時間がかかるので、過剰摂取すると分解されず、そのまま腸に移動し、腸蠕動を亢進させ、脂肪性下痢をきたすのです。

 それに引き換え「糖質」はいくら過剰摂取しても、下痢をきたすようなことはありません。医学用語にも脂肪性下痢という言葉はありますが、糖質性下痢という言葉はありません。「糖質」は非常に素早くほぼすべて吸収されるという、エネルギー源としては非常に優れモノなのです。

 では「たんぱく質」を過剰摂取するとどうなりますか?という質問が出るかもしれません。肉や魚に代表されるように、「たんぱく質」と「脂質」は単一栄養素の食品が少なく、両成分を豊富に含む食品は多い傾向があります。すなわち、たんぱく質を過剰摂取すると、脂質も過剰摂取していることが多く、吸収率は低下すると思われます。それに引き換え、白米や砂糖、果物に代表される「糖質」は「たんぱく質」や「脂質」をほとんど含んでいない単一栄養素の食品が多い特徴があり、栄養バランスのくずれの大きな要因にもなります。

 肉体労働が多かった高度成長期以前において、白米は吸収率が高く、素早くエネルギー源になるため、非常に重宝されました。「米を食べて働け」という時代だったのです。昔の人は現代人よりも白米を食べていたと思われますが、活動量が多いため、肥満や糖尿病になる人が少なかったのです。しかし、デスクワークやリモートワークなど、エネルギー消費量が少ない現代においては、白米を食べた分の糖質を消費できないことが多く、肥満や糖尿病をきたしてしまうのです。また、3時のおやつに代表されるお菓子も、すみやかに吸収される糖質で、その分のエネルギーが余ってしまうため、肥満や糖尿病になってしまう大きな要因です。

〈第4土曜日に掲載〉

2026年3月28日号掲載

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