健康診断では血糖値は正常なのに、食後1~2時間すると、いつも眠くなる、だるくなる、イライラするというような症状を来す人はいませんか?
その原因は血糖値スパイクによるものかもしれません。糖質を多く含む食事や早食いをすると、急激に血糖値が上昇します。すると膵臓からインスリンが大量に分泌され、今後は血糖値が急激に低下します。このように短時間に血糖値がジェットコースターのように乱高下することを「血糖値スパイク」といい、近年注目されています。血糖値が急降下することで、脳や自律神経にエネルギーが行き届かず、眠くなったり、だるくなったり、イライラの原因になるのです。

人間の体は非常に真面目にできています。血糖値が急激に上昇すると、体が危機感を感じ、血糖値を下げなければと敏感に反応し、膵臓からインスリンを必要以上に出しすぎてしまうことで、血糖値スパイクは起こります。血糖値スパイクを繰り返すと、膵臓が疲弊して、最終的に糖尿病に移行します。
さらに恐ろしいことに、血糖値スパイクは、血管の壁をボロボロに傷つけ、動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす危険性が高まり、突然死の原因にもなります。また、血糖値スパイクは種々のがんや認知症の発症に関連しているといわれています。
では、どのような人が血糖値スパイクを起こしやすいのでしょうか。代表的なのは、お菓子や果物、甘い飲み物をよく摂取する人、炭水化物中心の食事が多い人、早食いをする人、運動不足の人、肥満傾向の人です。また、睡眠不足やストレスも血糖値に悪影響を与えます。
予防のためには、日々の食事と生活習慣の見直しが重要です。
まず意識したいのは「食べる順番」です。野菜や海藻、キノコ類など食物繊維の多いものから食べ、その後に肉や魚などのタンパク質、最後にご飯や麺類などの炭水化物を食べることで、血糖値の急上昇を抑えやすくなります。
また、「ゆっくり食べる」ことも大切です。よく嚙んで食べることで満腹感が得られやすくなり、血糖値の上昇も緩やかになります。さらに、食後に軽く歩くだけでも血糖値改善に効果があります。食後10~15分の散歩でも十分意味があります。
もちろん、お菓子や果物、甘い飲み物を控えることは血糖値スパイクを予防する上で、何より大切なのは言うまでもありません。果物は体にいいと思っている人が多く、朝食として、果物のスムージーや野菜ジュースを飲んでいる、果物をたっぷり食べている人も多いと思います。朝は体を覚醒させるために血糖値を上げるホルモンが分泌されるため、何も食べなくても血糖値が上がる人がいて、このタイミングで糖質の多い果物を取ると、血糖値の急上昇が起こります。
朝食に食べがちな果物の糖質量を見てみると、バナナ1本が25.7g、リンゴ1個が30.0g、キウイフルーツ1個が9.2gといずれも高値です。朝の1食目は血糖値が急上昇しやすいので、避けるのが正解です。果物を食べるとしても、食後のデザートとして適量を守ることが血糖値スパイクを予防する上で重要です。
最近では、持続血糖測定器(CGM)を使って、自分の血糖変動を可視化できるようになってきました。普段は健康だと思っていた人が、菓子パンやジュースで大きな血糖値スパイクを起こしていることもあります。自分の体の反応を知ることは、生活習慣を見直す大きなきっかけになります。
血糖値スパイクは、初期には自覚症状が乏しく、見逃されやすいのが問題です。しかし、早い段階で生活習慣を整えることで改善が期待できます。「まだ糖尿病ではないから大丈夫」と考えるのではなく、日々の食事などを見直すことが、将来の健康を守る第一歩になるのです。
〈第4土曜日に掲載〉
2026年6月27日号掲載
