脂質よりもむしろ糖質
「脂っこいものは太るから」と、肉の脂身や揚げ物を控えている人は少なくありません。ところが、飲んだ後には締めのラーメンやお茶漬けを食べ、満腹なのにデザートまで注文する。これでは、脂質を控えていてもなかなか痩せません。なぜなら、日常生活で無意識に取り過ぎている肥満の元凶は、脂質よりもむしろ糖質であることが多いからです。

糖質とは、砂糖だけではありません。ご飯、パン、麺、餅、芋類、菓子、果物、ジュースなどにも含まれています。例えば、ご飯一膳には約50・、ラーメン1杯にはおおむね60から80・の糖質が含まれます。ラーメンを食べた後に「小ライス」、焼き肉の後に冷麺、飲酒後にお茶漬けを追加するのは、主食の上にもう一度主食を重ねているのと同じです。
糖質を取ると、消化されてブドウ糖となり、血糖値が上昇します。するとすい臓からインスリンが分泌され、ブドウ糖を筋肉や肝臓に取り込ませます。すぐに使われないブドウ糖はグリコーゲンとして蓄えられますが、その貯蔵量には限界があります。使い切れずに余ったエネルギーは、やがて中性脂肪となって脂肪細胞に蓄えられます。さらにインスリンには、脂肪の分解を抑える働きがあります。糖質を何度も口にする生活は、脂肪をため込みやすく、燃やしにくい時間を長くするのです。
その典型が「締めの〇〇」です。料理やお酒ですでに十分なエネルギーを取った後に、さらに大量の糖質が追加されます。しかも食べるのは夜遅くになることが多いと思います。その後は帰宅して寝るだけで、取ったエネルギーを使う機会はほとんどありません。「飲んだ後のラーメンが一番おいしい」という習慣が、毎回確実に体脂肪を増やしていきます。
「甘いものは別腹」も同じです。満腹感は胃がいっぱいかどうかだけでなく、脳の働きにも左右されます。食事で塩味やうま味が続いた後に甘いものを見ると、脳は新しい味を報酬として求め、食欲が再び刺激されます。本当に別の胃袋があるわけではなく、脳に「まだ食べたい」と思わされているのです。満腹でもケーキやアイスが入るのは、体に必要だからではありません。
また、甘い飲み物にも注意が必要です。ジュース、加糖コーヒー、スポーツ飲料などは、かまずに短時間で飲めるため、糖質を取ったわりに満腹になりません。「固形物を食べていないから大丈夫」と思っていても、血糖値は上がり、余ったエネルギーは蓄えられます。
もちろん、脂質はいくら取ってもよいという意味ではありません。脂質は1・9・・と高エネルギーです。肥満になる理由は、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回るからです。しかし、脂質を警戒する人は多くても、ご飯、パン、麺、菓子、果物、甘い飲み物をすべて「糖質」として認識し、取り過ぎないようにしている人は多くありません。特にラーメン、チャーハン、ケーキ、アイスなどの「糖質+脂質」は、最も太りやすい組み合わせです。
痩せたい人が最初にやるべきことは、極端な糖質制限ではありません。まず「重ねて食べない」ことです。麺を食べたらご飯を付けない。飲酒後は締めを食べない。デザートは満腹なら翌日に回す。甘い飲み物は水やお茶に替える。どうしても食べたければ、1人前ではなく少量を分けて味わう。この程度でも、一日の糖質量は大きく減らせます。
「脂っこいものを食べたから脂肪になる」とだけ考えていては、肥満の本当の原因を見逃します。あなたの体脂肪を増やしているのは、目立つ脂身より、無意識に重ねているご飯、麺、甘いものなどの糖質かもしれません。「締め」と「別腹」をやめる。それが、肥満から抜け出す最も確実な第一歩です。
〈第4土曜日に掲載〉
2026年10月24日号掲載
