フレイルとは英語のFrailty が語源で、日本語で直訳すると「虚弱」の意味です。加齢や疾患によって身体的・精神的なさまざまな機能が徐々に衰え、心身のストレスに脆弱になった状態のことをいいます。

高齢者は特にフレイルを発症しやすく、多くの場合でフレイルの時期を経て徐々に要介護状態に陥ると考えられています。介護が必要になる前段階と表現できますが、予防や適切な治療を行うことで健康な状態に戻ることができる時期ともされています。
フレイルの原因は、「身体的要素」「精神的要素」「社会的要素」の三つに分けられます。身体的な面での原因としては、筋肉、骨、関節など運動機能に関わる器官の衰えが挙げられ、歩行や立ち座りなど日常生活を送る上で必要な動作に支障をきたしている「ロコモ」と呼ばれる状態、筋肉量が減少する「サルコペニア」と呼ばれる状態などが含まれます。
糖尿病や骨粗しょう症、がんなどの疾患や薬の多剤服用などがこれらを加速させ、運動量が低下します。そうすると、食欲が減退するので低栄養となり、さらなる筋力の低下を起こしてしまいます。また、特に疾患がなくても、高齢者では加齢による食欲の低下や、食べ物を噛み砕く力や飲み込む力の衰えによる食事量の減少から栄養不足となり、筋力の低下によるフレイルの悪化を招きます。
一方、精神的な面での原因としては、加齢に伴う認知機能の低下や抑うつ気分などが挙げられ、家事や買い物などさまざまな場面で適切な判断・行動ができにくくなることなどが問題となります。
そして、社会的な面での原因としては、外出の機会が減るなどが挙げられ、社会的に孤立し、引きこもりがちな生活が続くことで社会性が低下してしまいます。
フレイルの特徴は、前述の三つの原因が重なることでさらに状態が悪化していくことです。例えば、身体機能の衰えによって外出が億劫になることで引きこもりがちの生活になり、それが社会性の低下を引き起こします。また、引きこもりがちな生活が続くことで、さらに身体機能や認知機能が低下する負のスパイラルに陥ってしまいます。
フレイルを予防するには、糖尿病や高血圧、脂質異常症などの持病(基礎疾患)をコントロールすることが大切です。たとえば糖尿病が悪化してしまうと、糖尿病性網膜症による失明や糖尿病性神経障害による下肢切断などをきたしてしまいます。だからといって、薬でのみ持病をコントロールしていると、多剤服用になってしまい、薬の飲み過ぎによる身体的・精神的機能の低下をきたしてしまいます。持病の多くは生活習慣病であり、生活習慣、特に食習慣の改善が重要です。
運動もフレイルの予防には重要です。高齢者は、これまでの連載で述べてきた「筋トレ」「インターバル速歩」などの適切な運動をすることで、筋力を維持することが可能です。その際は、たんぱく質をしっかり取るという食事療法もセットで行う必要があります。高齢になると、たんぱく質の摂取が減りがちになるので注意が必要です。
さらに、高齢になると免疫力が低下するので、新型コロナウイルスやインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなっています。感染症が重症化して入院、そして寝たきりになってしまうこともあります。したがって、手洗いやマスク、ワクチン接種などの感染予防も重要です。ただし、感染症を意識し過ぎて、引きこもってしまうと、社会性低下によるフレイルをきたしてしまうので、何事もほどほどが大事です。
フレイルを予防するには、「持病のコントロール」「適切な運動」「感染症の予防」が重要であることを認識していただければと思います。
2023年4月22日号掲載
