08 ウオーキング ~運動強度は中強度が最適

 2019年度「スポーツの実施状況等に関する世論調査」(スポーツ庁)によると、60代、70代の高齢者が「初めて、もしくは久しぶりに再開した運動」の1位は「ウオーキング」でした。他の運動は1割前後の割合に対して、「ウオーキング」は6割前後を占めており、手軽に始められる運動として高齢者に人気があることがわかります。ウオーキングは、自由に、シンプルに行える運動で、特別な道具や訓練は必要なく、どこでも行うことができ、高齢者のみならず、どんな年齢の人でも行えます。

 ウオーキングは酸素を体に取り入れながら行う有酸素運動であり、長く続ければ続けるほど、脂肪をエネルギーとして燃焼しやすくなります。代謝が良くなることで血中脂質や高血糖、高血圧の改善に有効です。心肺機能の維持・改善にも効果があります。

 また、歩くことで荷重がかかり、骨に刺激が加わるので、骨の強さが増しやすく、骨粗しょう症予防にも良いといわれています。さらに、ウオーキングは快感ホルモンの分泌を促し、精神的な緊張や抑うつなどのマイナスの感情は低下し、プラスの感情である活力が上昇するという感情への効果も報告されています。

 脳の血行が良くなることで認知症のリスクを低減させるという報告もあります。ウオーキングは、NK細胞(ナチュラルキラー細胞)という免疫細胞を活性化させ、免疫力を高める作用もあるとされており、コロナ禍の今だからこそ、なおさら重要だと思います。

 それでは具体的にどのようなウオーキングが理想的なのでしょうか? 身体活動の運動強度は、低強度・中強度・高強度の3段階に分けられます。健康寿命を延ばすためには、中強度が最適な運動強度とされています。歩行でいうと、低強度は、家の中の移動やだらだらとした歩行などです。中強度は、大股で地面を力強く蹴る歩行、うっすらと汗ばむ程度の速歩き、会話が何とかできる程度の息が弾む歩行、山歩きや畑仕事などです。高強度はきついと感じる運動や激しいトレーニングを指します。

 ウオーキングは多く歩いた方が良いと思われがちですが、1万歩よりも8千歩の方が健康に良いともいわれています。1日8千歩のウオーキングは、ただ歩くだけではなく、(1)大股で歩く、(2)インターバル速歩の2つのポイントを押さえて行うことが大切です。  

 (1)の大股で歩くについてですが、ウオーキングをするときに歩幅を広くすると、約1・5倍に広がります。大股で歩くことで運動強度が上がり、筋力がつきやすくなります。
 (2)のインターバル速歩とは、速歩きとゆっくり歩きを交互に数分間ずつ行う運動です。速歩は合わせて1日15分間以上行うことが推奨されています。大股にプラスして、「ゆっくり歩く」「速く歩く」を交互に3分間程度繰り返しながら歩くことがおすすめです。階段の上り下りも下肢の筋力アップに有効です。階段を上り下りする運動は、平たんな道を歩くよりも多くのエネルギーを消費し、その運動量はジョギングに匹敵するといわれます。

 運動習慣のない人、特に高齢者にとって、ウオーキングは有益であるといわれています。週に数回のウオーキングをするだけで、心身に好ましい効果が表れます。運動習慣のない人、まずはウオーキングを始めてはいかがでしょうか。

2022年10月22日号掲載

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