県立歴史館で企画展 11月8日まで

文書の背後の歴史見て 県の戦後80年写真パネルも
県立歴史館(千曲市)は11月8日(日)まで、企画展「長野県150年のあゆみ〜県民の・お宝・公文書の世界〜」を開いている。県宝指定を受ける同館所蔵の公文書「長野県行政文書」を中心に国の公文書など計102点を展示。同館文化財指導主事の花岡康隆さん(43)は「県成立から終戦に至るまでの県の歩みを振り返り、近代という時代がどう現在につながっているのかを考える機会にしてほしい」と話す。
今年は1876(明治9)年に現在の長野県が誕生して150年の節目の年にあたる。同時に戦後史を中心とした新たな県史編さん事業が始まる年でもある。これを記念し、企画した。
「長野県行政文書」は、明治初期から終戦直後の1946(昭和21)年まで、県が行政を進める過程で作成、保存されてきた公文書群で、その数は1万783点にのぼる。県の施策や事業だけでなく、人々の暮らしの様子や地域社会の変化が具体的に記録され、県の近代史を今日に、また未来に伝える貴重な史料だ。
展示は、新しい県政の始まりと公文書管理の始まりを伝える序章から、明治前後期、大正期の三つの時代を軸に、戦時下の県政や県民生活を伝える終章まで5章で構成する。
国立公文書館の「筑摩県外十四県廃合」は、1876年に「筑摩県を廃止し、飛騨国分を岐阜県へ、信濃国分を長野県に合併するこ
と」を命じた布告(通知)で、現在の長野県が成立したことを伝える。
現在私たちが利用している道路交通の基礎となった県最初の道路行政「七道開削事業」では、国が補助金の交付を許可する内務大臣山県有朋の通達文書を展示。「大正期の長野県」では、「電力王」とも称された福沢桃介主導による木曽川流域の電源開発の過程を発電所建設に関する公文書や発電所の設計図などでたどる。明治天皇の御名御璽(ぎょめいぎょじ=署名と押印)を間近に確認できる公文書も並ぶ。
第2展示室では「戦後80年の歩み」と題して、県の戦後80年を代表する出来事を写真パネルで紹介している。
展覧会初日のオープニングセレモニーで阿部守一知事は「公文書は後世へ大切に伝えるべき県民共有の財産。歴史から得られる学びや気づきを未来の県の発展につなげたい」とあいさつ。同館参与の笹本正治さんは「未来を考えるための素材は過去の資料しかない。まさに公文書は私たちにとっては武器でありお宝。1点の文書の背後にある歴史も見てほしい」と話した。
開館時間は9時から17時。休館日は月曜と11月4日(水)。入館料は企画展のみ一般300円、大学生 150円、高校生以下無料。
(問)同館☎︎274・2000
記事・写真 中村英美
2026年10月17日号フロント
